陽光が差し込まない、魔動機の光に照らされた閉塞感あふれる地下室。
それが彼女にとっての居場所であり、揺り籠であり、世界の全てだった。

母親は、彼女が生まれる際に亡くなったらしい。
したがって、彼女にとって唯一の家族は父親だけだった。
彼はよく本をお土産として持ち帰り、文字を教えてくれる優しい人物だった。
外の世界に対する興味は持ちつつも、彼女は自身が抱える世界で満足しており、この幸福が永遠に続くと信じて疑わなかった。

しかし、彼女はある日、いつまでも戻らない父を探しに地下室を出る。
そして、病によってこの世を去った父と、彼の日記を発見した。
そこで彼女は、父の笑顔の裏にあった真実を知る。


贈られた名である【フィルフィー】
それはある地方語で「穢れ」を意味している事。
優しかった父の心には、絶望、怒り、そして嫌悪があった事。

彼女は自分たちの間に愛があると信じていたが、それは彼女だけの思い込みだった。
父は彼女を憎んでいたが、その憎しみを決して顔に出さず、彼女を育てていたと、知った。


その真実は、彼女の人格形成に大きな傷跡となって刻まれた。
彼女にとってヒトとの繋がりは世界そのものであり、そしてその世界はいずれ崩壊する運命の下にある。
今後、彼女が誰とでも絆を深めようとも、それが反転する恐怖、その裏に隠されているかもしれない嫌悪感に耐えかね
――――やがて彼女は自らその絆を断ち切るだろう。

【要約：人間関係リセット癖持ち】