解説

　ヴェルマンド近郊の遺跡『小魔動骸区』に生息しているヴォークス（『ブルライト博物誌』P123～125）の一種です。
　元来ヴォークスは、その発生経緯からしてブルライト地方の魔動死骸区以外で見られることはまずない筈の種族ですが、この『小魔動骸区』には集団で生息しており、近隣ギルドなどからも認知されています。
　本来ヴォークスはお互いに思考と知覚をリンクした群体であり、思考と知覚を共有していますが、この区に生息する彼らは、自分たちが大昔に魔動死骸区の『エンプレス』から切り離された影響で、個々の個体がある程度の『個性』を備えるようになったと主張しています。
　彼らは、長期にわたって仕えるべきエンプレスなしで活動していたためか、従来のヴォークスよりも他の生命体に対して高圧的でなく、交渉が成立しやすい、という特性を持ち、これにより周囲の人族国家と最低限の交流を図る事で生き残ってきました。
　反面、人族との交流が長く続いたためか、このヴォークス達の中でも、『魔動死骸区に帰還せず、人族との衝突を避け現在得ている土地を守って生きていく』ハト派と、『人族と戦争を起こしてでも魔動死骸区に帰還し、エンプレスの為の兵隊となる』タカ派の大きな二つの勢力に分かれて争っています。

　この個体は、ハト派を偽装したタカ派の一派が、メカニックとして優れた才能を持つ冒険者『ティンカートン・ペチコート』を利用し、自身を強化させた個体になります。
　彼女の作り上げた『発明』である“アルタード・ギア”を体内に組み込むことで、人造魔剣の力の一部を引き出す事が可能となっています。