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『一投一殺』
　　　　　――基本にして真髄――

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　幼い頃から父上と兄上と共に研鑽を積んだ、〈投げ〉を起点とした総合武術。
　対処を転倒させた後“如何に効率よく急所を潰せるか”に重きが置かれており、殺傷力の高い武術である。
　しかし、殺生を忌むべきものだと認識しているシノギリは、この武術を十全に扱えているとは言えないだろう。
　なお、一部の隙も見せない衣服の下は、“兄上”との鍛錬で付いた傷で埋め尽くされている。

　流派の特徴として、動作の“起こり（予備動作）”を排した“当てるための技”が多い。
　コンビネーションは少なく、〈投げ〉からの２・３度の攻撃で離脱することが前提とされている。
　一方、投げられない相手に対しては、ヒット＆アウェイによる持久戦を行うべしとされている。
　これは【赫辰流】が護身を目的とし、かつ寒冷地で発達したものであるからして、
　自身の体力を温存しつつ、可能な限り相手の戦闘力を削ぐことを重視した結果であるだろう。

★評価時の能力、☆成長性込み

意見／一般通過兄上

純粋に知力が求められるもの以外は可も不可もなくと言った所だ（これは育ちのせいもあるが…）。
物覚えが悪いわけではない。また、身体的な能力は自ずと成長するだろう。
生真面目な本人の性格もあって、純粋な戦闘技術はかなりの伸びしろがあるな。
種族特徴［剛力］を生かした〈投げ〉は、相手に強みを押し付ける一手になるだろう。

放浪の旅の中で泊まった村が魔物に襲われた際、背中を預け合った仲。
お互いに旅を続ける身であることを知り、ユランアウルクまで同行した。
それからも、拠点を同じにするなど一定の付き合いを続けている。

年相応の落ち着きを見せる振る舞いから、数少ない頼れる友人と思っている。

「面倒見がよい方です。……少し、つっけんどんな感じはしますが」

放浪の旅の中で泊まった村が魔物に襲われた際、背中を預け合った仲。
お互いに旅を続ける身であることを知り、ユランアウルクまで同行した。
それからも、拠点を同じにするなど一定の付き合いを続けている。

その言動に元気をもらいつつも、ついつい同性のイブキの肩を持ちがちな様子。

「若さゆえの溌溂さが、少し、うらやましいこともあります」

…とあるミノタウロス一族待望の姫として生を受けた。
　姫は多くの“家族”から祝福を受けていたが、それは多くの血と怨嗟に彩られたものだった。

『我が一族に｜繁栄《わざわい》と｜祝福《のろい》あれ！』

　「唯一の者を祝福するために、幾つの村が犠牲になったことか」　

…同じ“母”から生まれたとは思えない残虐な兄弟姉妹たちに、彼女は何も感じなかった。
　唯一の幸運は“父”が善悪を知らぬ兄弟姉妹たちを、物理的に遠ざけてくれたことだ。

『品性は、死ぬまで直らんか』

　「家族とすら言えない存在に、何を感じろと？」　

…“母”がその役目を果たせなくなった時、食卓の脇ではなく上に並べられたのは必然だった。
　脳がその事を忘れても、肉を断つ手と歯の感覚は今でも身体が覚えている。

『さぁ食え。これもそれを望んでいた』

　「母の味ですか。それはもう、生焼けでした」　

…とある冒険者が、彼女を蛮族の手から救い出し、以後平穏な生活をすることになった。
　寡黙な父上と、過保護な兄上に育てられた彼女は、人族の知性を体得した。

「ワタシが成人したらさすがに直るかと思ったんですけどね」

　『我が一族の悲願は何処か』　

――己が身一つを奮い立たせ、現世に熱い楔を打ち込みし者。筋肉は裏切らない！――
「あの兄上とて、ワタシとの力比べには辛勝でした」

…恵まれた体躯を生かして、飢え死にしなければいい程度に働いている。
　鍛錬もできて一石二鳥だとか。

――自然の原理を己が叡智とし、技術を以て安寧を編みし者。神すら居付く我が社――
「……隙間風、気になりますね」

…放浪する身。フラリと立ち寄った村で意外と需要があったので習得した。
　最近は居住地付近の代表的な棟梁の元へ丁稚に行っているとか。

――自然の移ろいと対話し、生活を彩る豊かさを実らせる者。恵みに感謝を――
「最近ようやく芽がでたんですよ……可愛いと思いませんか、アナタ？」

…何かを育てないな、そう思って始めた趣味だ。
　枯れてしまうと、無表情が更に暗くどんよりし始める。