赤茶けた髪と髭を無造作に伸ばした、胡散臭い面のドワーフ。
その体躯と同じかそれ以上に見える戦斧を引っ提げていることも相まって、一見すれば熟達した戦士に見えないこともない。

しかし、目端が利く者であれば、重厚な斧に比べ防具が余りにも貧相であることに気付くだろう。
一流を気取った三流冒険者にはよくあることで、このドワーフもその例に漏れず、有り金を得物のみにつぎ込み防具や道具を疎かにした、見掛け倒しの愚か者なのだ。


……別にそこに何の種も仕掛けもありはしない。コイツは本当に、ただの見掛け倒しの愚か者である。

ハルシカの実家で親の脛をかじり、齢78に至るまで酒とギャンブルに溺れる生活を送ってきた。
だが数年前のある日、自らの生活に危機を感じた両親により非道にも(?)勘当を喰らい、以来なんちゃって冒険者を続けている。

一応、『パラディース・ツーク号』への乗車を目的に旅をしていたが、間に合わせる気があるのか、道連れのムエル(しゅぺるPC)と共に2年半の珍道中を繰り広げ、日程ギリギリで客車に滑り込んだ。

豪快に笑い、豪快に(イカサマに)怒り、豪快に二日酔いに苦しむ。

ただ、(こんなヤツを頼りたいかは別として)意外にもお節介焼きで、「良いってことよ」を口癖にトラブルや問題に首を突っ込んで回る。…まぁ無事解決できるのかは知らない。

一緒に酒飲みゃ全人族、いや全生物友達よ！と酒場で相席になった奴に絡んでいくが、酒場全体を巻き込む大喧嘩に発展したことも一度や二度ではない。

あと計画性が無い。ほっときゃしょーもないことに全財産つぎ込む。
何も考えずにでっかい斧を買ったせいで予算を消し飛ばし、おまけに露天商からまんまと天然石の指輪を買わされ（「お客さんみたいな色男にお似合いの品ですぜ！」）、乗車時には一文無し・ほぼ裸一貫の状態だった。

一応バトルダンサーにあたる。（重厚な防具を買う金がなかっただけである。）

護衛者としてしばらく過ごしたこともあり、流石に道具、魔法装飾品などを揃えるだけの常識は身に着けた。
が、鎧の無い戦いに体が慣れてしまったので、防具は貧相なままである。
戦闘中は付け焼刃の練技と賦術を用いつつ、相変わらずの紙装甲で敵陣に突っ込んでいく。