騎士風の装備を身に纏い、爽やかな好青年と言った印象を感じられる男性。
ティエンスの宝玉は右手の甲に現れているが、普段は手袋をしているためそれを見る機会はあまりない。
依頼中ではない時は鎧を脱ぎ、軽装で出歩くこともしばしば。
また、同族と比較してやや身長は低めで、本人もそれを気にしている。とはいえ、既に成人しているので伸びる余地はあまり期待できないが。

依頼に赴く際は基本的に槍と盾を扱う。だが、自身の技量にあまり自信がないのか、槍の代わりに扱いやすい片手鎚を持つこともある。
その他、騎獣を連れているのもよく見られるだろう。

普段は物腰が柔らかく、人が困っていると手を差し伸べるタイプ。
だが、一から十まで助ける訳ではなく、手を差し伸べる代わりに代価を求めることも多い。
とはいえ、基本的には「依頼終わりの一杯」とか「賭場のツケの代払い」とかの簡単なものではある。

依頼中等、やや自身の身の安全を軽視する行動を取ることもある。
多くの場合は「その方が効率的」だからという理由であるが、結果自身が傷付いてもあまり興味がない。
自殺行為に踏み出すような行動は基本的に行わないが、危なっかしい場面も確かにある。

ギャンブルが趣味で、賭場に入り浸ることも多い。
お金を増やしたいと言う訳ではなく、ギャンブルそのものに対する興味や関心の方が強い。
なので、大負けして借金を背負ったとしても何食わぬ顔をする。借金自体は返す意識はあるが。
酒や香水も好きなので、どっちかと言うとダメ人間に近い印象も感じられるかもしれない。

────人は、己が生きる意味を求めるか。

ブルライト地方南部に位置する、"導きの港"ハーヴェス。
その街より更に南下した辺境に、彼が住んでいた故郷が……"かつて存在した"。
村は小規模なもので、住民も50人に満たない程のものであり、細々と穏やかに生活していた。

人間同士の親の下でティエンスとして生を受けた彼は、最初は少し変な人間程度に思われていた。
だが手の甲に浮かび上がった宝玉が誤りであったことを述べていて。直に村中で持ち上げられる存在となった。
そんな彼もその期待に応えるように、数々の力仕事をこなしていった。
彼自身も質素な生活を心から楽しんでいて、ティエンスらしい奈落討伐への意欲は全くと言っていい程無かった。

──だが、そんな彼が変わる……変わってしまった出来事が、齢12歳の頃に訪れる。
彼が村の手伝いのために、村から少し離れた洞窟へ訪れた時の事。
その洞窟で迷ってしまった彼は、何やら封印されていた何かの魔法の品を見つけてしまう。
単純な好奇心か、魔法の品の効力か……いずれにしろ、彼はその封印を解いてしまった。
結果、魔法の品──後に、それは魔神の封入具と判明する──から魔神が解き放たれて。村を襲い始めた。
あっと言う間に壊滅し、火の粉が舞う村の惨状に……彼は何もできなかった。

その後、魔神の発生による被害調査と、"奈落の魔域"の発生を危惧してか派遣された集団に保護される。
が、無知故の行動とはいえ魔神を放って災いを起こしたことの罪を問われて、彼はハーヴェス旧市街区にある牢屋に捕らえられた。
自分が何をしたのか、それすらも理解できないまま……ただ、ただ時間が経っていった。

それから数年が経って。とあるレプラカーンの女性が彼の釈放のために動き、彼を牢屋の中より導いた。
だが彼女は慈善で動いたわけではなく、彼自身の保釈金を借金として取り立てると話した。
実際に彼女はポンと保釈金を払い、以降定期的に取り立てに来るようになった。
彼女が何故わざわざ助けてくれたのかは未だに真意は分からず仕舞いだ。だが、これで魔神を倒すための十分な理由にはなった。
彼は借金を返すためにも冒険者として活動を始めた。元々村でも動物の扱いにはそこそこ慣れていたこともあり、騎手として腕を磨くことに。
とはいえただでさえ資金も少ない駆け出し。そこに借金までついて来れば、当然貧乏暮らしにもなる。
そんな彼がたどり着いた場所が「始まりの短剣亭」で、日夜酒とギャンブルと香水を楽しみながら細々と生活している。

彼の村近くに謎の封入具が置いてあった理由も、何故彼女が助けてくれたのも未だにわからない。
しかしそれを知ろうと思わなくても今が楽しい……それだけで彼は十分だった。

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身体変化表