私はとある村に拾われました。それは魔法使いの村でした。
私は魔法を使えませんでした。一生懸命勉強をしても覚えることができず、簡単な魔法も使うことができませんでした。
大人たちが言うには、私は魔法を使うことができない種族だそうです。
大人たちは私を憐れみました。子供たちは私をいじめてきました。
私がその時にできることは薬を作ること、薬の素材を集めること。それだけしかできませんでした。
ある日、大人たちはある提案を私に持ち掛けてきました。
『マナフレアでも魔法を使えるようになる実験』でした。
私はそれに頷きました。これ以上憐みの眼を向けられるのもいじめられるのもつらかったからです。
どんな苦しみにも耐えました。どんな痛みにも耐えました。
どれだけ血を抜かれても耐えました。どれだけ切られても耐えました。
『頑張って、もう少しだよ』『君のおかげで実験が進んでいるよ』
その言葉を励みに、どんな実験にも耐えてきました。
…でも、薄々と気づいていました。この実験はそういう目的ではないことを。
マナフレアの構造を調べるために私の体を調べていることを。
その時の私は、やけになっていました。
私がいつ生きても死んでも、どっちでもいい。相手を信じ続けるのは『楽』で、相手を疑うのは『面倒』でした。
『楽』だったので、大人たちを信じ続けるようにしました。
…その日が来たのは突然でした。
急に知らない大人の人がいて、私の手を引いて連れ出しました。
村は火の海になっていました。
その人がいうには仲間割れ、だのサンプルを○○に売り渡す、だの色々いっていましたが
どうでもよかったです。
私はその大人の人を信じることにしました。そのほうが『楽』だったので。
今ではその人のところで薬を作ったりしつつ過ごしています。
でも、最近はバグランツ？ってところで働いています。いろんな人がいて面白いです。
そこの人たちも、どんな人でも私は信じ続けるようにしています。だって

人を疑うのって『面倒』じゃないですか？