「なんであの温厚平和の月神シーン様の子なのに戦場で戦わないといけないの～～～平和に行こうよ～～～～」
「戦闘狂の馬鹿ばっかりだよ～～～～助けて～～～～～～～(知力5)」

「いやいやわたくしめは皆様のおそばで応援するだけのか弱い後衛で―――――
　　　　　　　　　　　　　　　　――――――――ちょっとなんで押し出すの！？？！！無理無理死んじゃうってぇぇ！！！！」

「貰えるものは病気とゴミ以外全部貰うけど、仁義とか恩義とか貰って返す必要あるぅ？？死んでたら元も子も無いんだってぇ」
「貰うだけもらってありがたーい！！！！して終わりで良いじゃああああん！！！」
「命張る価値あります？わたくしめには全然理解が出来ない概念ですねぇ！！！だから共感示してない人前線に押し出さないでくださぁぁぁあい！！！！！」

「誇りとか名誉とかいうあると邪魔なステータス削るだけで生きていけるとか最高～～～！！実質無料で飯が食える～～～～！！！」

「責任…ストレス…危険…すべてから逃れて楽に楽しく生きたい」
「"打たれず響かず平穏に"を座右の銘にしたい今日この頃」

「実は幸福ってぇ、生きてる先にしかなくってぇ…(ろくろ)死んだら幸福も何もないんですよぉ…知ってました？」
「ちょっ！？今めちゃくちゃ良いこと言ったじゃないですか！！！！なんで！！！？？なんで押し出すんですか！！！？？？？助けて男の人～～！！！！！！」

「戦うために武器取るくらいならエールが入ったカップをとったほうが生産的って俺の心が囁いてた」
「乾杯しよ乾杯！ハイｶﾝﾊﾟ―――――――――――ｲ！！！」

「最近夢に超美人な女の人が出てくるんですよぉ～～～えへへ～～～」
「なんか困ってる人を助けなさいとか、怪我したり疲れてる人を見捨てちゃいけないとか、慈愛とぬくもりがどうのこうの」
「まるでシーン様みたいだよね～～～良いな～～～ああいう子好き～～～近々出会いがあるって予知夢かな～～～～」

命令のままに、必要な情報を収集するための技能。
もう使う必要がなくなった技。

元々はとある君主に仕えていたシャドウの一族の長子。
幼いころから斥候兵として育てられ、若くして戦場を駆け巡っていた。
ある時、戦場で深手を負い、茂みに身を潜め…意識を失ったところで、1人の敵兵に命を救われる。
その兵士は戦場以外のことを教えてくれた。普通の生活を教えて、今日共に生きた人が死体にならない世界を教えてくれた。
興味、好奇心、未知への探求…まだ見ぬ世界を語るその兵士の表情はとても楽しそうで…輝いていた。
いつか2人で酒でも飲み交わそうなんて、小さな約束を一つして――――その約束が果たされることはなかった。
赤い赤い水滴が手にしたナイフから滴り落ちる。
どんな人間だって、今日とも明日とも知れぬ日に、いつ別れを告げるかなんてわかりはしない。
どこか笑っているような"友人"の表情に、初めての感情が沸き上がる。
―――――――――疲れた。
一歩、戦場に背を向けて駆けだした。
そこらに転がっている名も知らぬ他人の死体に、自分の姿が重なる。
いつかあの死体が転がる場所は…自分の場所になるかもしれない。
それがなんとなく嫌で、恐ろしくて…ただただ、そこから逃げ出した。
戦場から逃げて、君主から逃げて、家から逃げて、全てから逃げた。
家の名前も捨てて、他の生き方もわからなくて、放浪者として時折適当な採取依頼をこなして、博打や遊びに打ち込む。
どうせ死ぬときは一瞬…後悔のないような生き方が出来ればそれで良い。
1人逃げた先の楽に興じて、今を謳歌できれば―――それが人ってものなんだろう。
何か物足りなさを覚えつつも、それは全て杞憂であると塗りつぶして、日々を謳歌する。
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珍しく賭場で勝ったんだったか、それとも酒が美味しかったんだったか、珍しく懐が温かかった時の事。
随分と呆けたような、行き場を失ったような1人の女の子の姿をみかけた。
ただの気まぐれ。辛気臭いなとか思ったのかもしれないし、なんとなく声をかけようと思ったのかもしれない。
やれやれといった風に重い腰をあげて、へらへらと間抜けそうな笑みを浮かべながら声をかける。

「やっほ～、そこの暇そうな彼女何してんの～？奢るから、一人寂しい俺のディナーを一緒に盛り上げてくんな～い？」