えっと……。言いにくいんだけど、実はスパイで来てたんだ……。あはは……。もちろん蛮族領は『人族は悪だ！』って世界でさ、私も人間たちは悪い奴らなんだって思ってた。けどね、人間の街に初めて入った時、見ず知らずのおばあちゃんがすっごく親切にしてくれてね？　私感動しちゃったんだ。それでさ、先入観捨てていろんなところ回ってたら……えへへ、人間のこと好きになっちゃった。

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　ここに来たのはねぇ、耳と尻尾をずっと隠してるのが結構大変だったからなんだ。ここならそういうのあんまり気にしなくていいでしょ？

　もし私が蛮族でもね、きちんと人間の礼儀作法を身に着けて、居ることを認めて貰えれば……。いくらか平和にならないかなぁ、なんて思うんだ。だから私の修行は生きるための修行なの。もちろん、武術も欠かしてないよ！　悪く言うつもりはないけど、特に南側への配達には自力がいるからね。

　人間の贈り物って素敵だよね！　記念とか感謝とか、大切な気持ちが込められてるの。その気持ちがちゃんと届いて、幸せな気持ちになってくれるのが私の楽しみなの。けど、だからといって今のお仕事は無契約なボランティアじゃないよ！　ちゃんと契約してお給料をもらって、そのぶん責任を持ってお仕事ができるでしょ。人間に倣っていかなくちゃね。