わたくしの親？…そうですか。ええ、登録するには細かい所までわからないと信用されないのは覚悟しておりますからね。お話してさしあげます。申し上げた通りわたくしはラルヴァで、父親がノスフェラトゥ。母親はエルフ…だったのかしら。どうもよくわかりませんでしたわ。人里離れて隠棲していた母を…おそらく生まれはそれなりに良い家柄だったと思います、ですが私がそのことについて聞きますと、どうも二度と帰れない場所を懐かしんでいる風がありました…たまたま父が夜の散歩で見かけて、月下香の花を摘んでいるその美しさに心を奪われただけの事だそうですわ。それは本当だったのでしょうね、母の眼はいつだって正気そのものでしたから。どうも、今考えると、当人達は少なくとも本気で愛し合っていた節もあります。父の方も芸術馬鹿の気があるようでしたし。

え、もう普段通りに話していいと？……ああ、しっかり敷地内の出来事に目と耳を働かせてらっしゃるのね。そう言うかたの纏め上げるギルドの方がかえって安心出来ていいわ。さて、で、父親をどう思っているか？変なことを聞くのね。

そうね、生理的に嫌いよ。ラルヴァって種族的にそう言うものでしょう？でも、憎んではいないわ。理由があればともかく、嫌いなものと言うだけで殺意を抱けるほど子供の覚えはない。

それに…赤ん坊の私に触る時、向こうにしてみればペットを見るような感覚だったと思うのだけれど、それでもね。あの恐る恐ると言う感じの、大人のノスフェラトゥの方が赤ん坊を怖がってる、物珍しそうで間抜けな顔を私は覚えてるの。嫌いはしても、憎むまでは出来ないわね。

さあ、これで全部よ。信じて頂けるなら嘘偽りはゼロ。人族判定の試験結果はいかがかしらね？

エステル：情報がまだ少ない。でも、準備のいい、抜け目のない人ではありそう。その抜け目のなさが私にとって信用できるものかどうかは、要継続観察。

クリスタ：気さくで親切な人。いいつてを引っ張って来られる手腕もありそうで、親しくしておいて損はなさそう…気楽にお話していられる、と言うのも含めてね。

アミティ：教育を受けている感じといい、たぶん背伸びしている所といい、少し親近感がある。芽のまま終わるか、それとも大樹になるか…実利の上でも気持ちの上でも後者であって欲しくて、見ていて気が楽。

ミユキ：テンションが高い！よ、読み切れない…！狙ってやっているなら結構な役者なんだろうけど、常時それをするだけの苦労に見合う動機の情報は現在ゼロ。でも、渇きを感じるほど接近せずに楽しく付き合えそうだとは思う。

ノノ：猫ちゃん。女の子好きを隠そうとしない辺りが潔すぎて、かえって気楽に可愛がりにいけるの。コギ―達に対抗心を燃やしてる姿がすごく面白いから、もうちょっと刺激してあげようと思うわ。あの素直さは見た目通りか、それとも擬態なのか、その過程でより確信もできそう。

ヒナ：情報がまだ少ない。お金にはしっかりしているみたい？自分はとことんケチだけど他人に金を遣わせるのは大歓迎、と言う嫌なタイプでもないみたい。足運びからして腕はあると思うし、チェックしておいて損はなさそうだわ。

アイリス：可愛い店員さん、以外の情報はまだないわ。

ツキカゲ：物騒だけれど、理解はできる。理屈の外にさえ出なければ相互理解は難しくなさそう。結局、私も半分はあちら側の身なんだから。

ユウリ：ソレイユ語って、あんな風だったっけ…？何となく、何かの境界線の上にいる子、って言う印象を受けた。

クリフォード：依頼に真面目で、衝動的でもなさそうで、信用できそうな人材…だと思ったら！依頼中に昼間からお酒飲んで、さも心地よさそうに息をついてるんじゃないっ！それはそれとして、仕事はきちんとこなしてくれそうには今の所見えたけれど。

カヤ：口の悪い外見詐欺。と言うとひどい言い方だけど、根っこは悪いひとじゃあなさそう。面倒を見ている相手からも、子供からも、彼女のいた孤児院がどんな場所なのかはある程度見えてくる。その点では、今の所警戒はしなくてよさそうね。

シュイ：ずいぶん人がよさそうで、陽気で、何と言うか…かわいい人だったわ。もちろん、私みたいにまずは誰にでも明るく好意的に接して反応をうかがうタイプもいるけれど。もちろん、約束もした事だし、そうでないと嬉しいわ。

テン：おっきい女好きでだらしない、しかも礼儀知らず、どうにもならない！…と思ったけれど。そう思ってしまう私の方こそ油断していたのかしら。あっさり気づかれてしまうんだものね。あの"おねえちゃん"が面倒を見てあげるに足る男であるといいと思いはするのよ…でないと彼女がちょっと悲惨だしね。

ジズ：いい子だと思う。ひとへの気の使い方を心得てるひとって、残念なことに滅多にいないものね。目端もきくようだし…惜しむらくは、テンとセットと言うところなのよねえ。とは言え、私の求める意味での「信用」には、怠惰さが故にかなっている…のかもしれない。それも、このふたりが何を求めて旅をしているか次第なんだけど。呪いとやらを見るに、一筋縄の事情ではなさそうだわ。

マオ：……母さんと同じ大きい族。私はその点ではちっとも母様に似て来ない…い、今の所は！それにしても、あれで冒険者や放浪者の中で無事にやっていけるのかしら？あまりに無防備過ぎる気がするのだけれど。その点では母さんとは全然違う族ね。

リア：まるで絵本から抜け出たみたいな、まさに本物の妖精。あの子なら、私みたいに小賢しく工夫をしなくても、妖精達に好かれていた母さんゆずりの宝石を使っていなくても、妖精達は喜んで呼ばれてくれるんだろうと思う。羨ましくないと言えば嘘になる、けれど…それでも、望まれた以上は、私はフェアリー・プリンセス。見上げているより、もっと胸を張っていかなければね。

ロジエ：かわいいウサギさん。時計を持たせて追いかけたら、もっと明るくて楽しそうな世界に連れて行ってもらえないかしら…なんて言うのは冗談だけれど。かわいいからって、甘くは見ない方がいい。うっかり本音を漏らしたら、長い耳にすかさず捕まえられてしまったもの。少しだけひやりとしてしまったわ。

アリエル：明るくて親切で、親しみやすくて可愛い女の子。…でも、それほど緩いわけではないと思う。彼女の話が本当だとしたら、彼女は「せめて」と言う言葉を使うような渇望を何かしら持っていて、そしてマナフレア。学び始めた限り、そう言うひとが緩く生き延びて来られるほど、彼女と同じ種族が生きていた時代が温かったとは思えないから。

リジア：心も体も健康的な肉体派ね。魔神殺し、なんて言う身体にも心にも物騒な事をしてるとは思えないくらい。あと、カロリーとか食後の運動とか、あの調子じゃ気にする必要もなさそう。乙女の敵があのランニングに追いかけられて悲鳴を上げて逃げているのが目に見えるようだわ。……とはいえ、走り出しながら揺れてた。いいなあ、そこにはお肉がついてくれて…

マレー：すてきな鉄道のおもちゃ！…なーんて、ね。田舎出の私でさえあっさりからかえるし、打てば響く反応があってちょっと楽しいわ。でも、あんまりいじめ過ぎても悪いかしら。真面目で一生懸命な鉄道員なんだものね。とはいうものの、もうちょっと擦れた方がいいとは思うわ。あれじゃいつか悪い女に好き放題されてしまいそう。